誤り訂正の仕組み
QRコードは、汚れや破損があっても読み取れることがあります。
これは「誤り訂正」という仕組みによって実現されています。
このページでは、QRコードの誤り訂正の仕組みと、実際にどう活用すればよいかをわかりやすく解説します。
目次
はじめに
街中で見かけるQRコードの中には、シールが一部はがれていたり、印刷がかすれていたりするものもあります。
それでも多くの場合、スマホのカメラで問題なく読み取れるのはなぜでしょうか?
それを可能にしているのが「誤り訂正」と呼ばれる仕組みです。
誤り訂正は、QRコードが「一部壊れていても読める」ようにするための非常に重要な技術です。
読み取る側にとっての信頼性、作る側にとっての安心感を支えています。
誤り訂正とは?
誤り訂正とは、QRコードに「冗長な情報(余分なデータ)」を加えることで、多少の破損や汚れがあっても元の情報を正しく再構成できるようにする仕組みです。
これは数学的な手法で、通信技術やDVDなどでも使われている「リード・ソロモン符号」に基づいています。
例えば、元の文章の一部が消えても、周辺の情報から復元できるようなイメージです。
この仕組みによって、QRコードは現実の利用シーンにおける耐久性を大きく向上させています。
誤り訂正レベルの種類
QRコードには4つの誤り訂正レベルが用意されており、それぞれデータの復元能力が異なります。
レベル | 復元可能な損傷割合 | 主な用途例 |
---|---|---|
L(Low) | 約7% | シンプルな情報、容量重視 |
M(Medium) | 約15% | 一般的な利用(デフォルト) |
Q(Quartile) | 約25% | 汚れ・印刷ミスに備える場合 |
H(High) | 約30% | ロゴを重ねたいときなど |
誤り訂正レベルを上げることで、より広範囲の破損をカバーできますが、その分QRコードの構造が複雑になり、データ容量も増えるため、見た目が細かくなったり、印刷精度を要求されるケースがあります。
また、QRコードにロゴを重ねたり、ドットの形状を変えたりするようなカスタマイズは、コードの一部を意図的に隠すことになります。
こうした場合でも、高い誤り訂正レベル(特に「H」)を設定することで、情報の復元性を保ちながらデザイン性を向上させることができます。
誤り訂正が役立つ具体例
QRコードの誤り訂正は、日常の多くのシーンでその力を発揮しています。
以下に、現実的な使用例を挙げてみましょう。
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飲食店のテーブルメニュー
テーブルに直接貼られたQRコードは、手や食器でこすれたり、清掃時に摩耗したりすることがあります。それでも、誤り訂正により読み取り可能な状態を保つことができます。 -
ロゴ付きのQRコード
中央にロゴ画像を重ねても、周囲のパターンから元のデータを補完できるため、デザイン性と機能性の両立が可能です。ブランディングにこだわる企業にとって非常に重要な活用方法です。 -
屋外ポスターや掲示物
屋外に貼られたQRコードは、風雨や直射日光にさらされ、退色や破損のリスクが高まります。QRコードの一部が欠けていても、誤り訂正が機能すれば読み取りに支障が出にくくなります。
このように、実際の使用環境では「少し削れた」「部分的に見えづらい」といった軽微な破損は避けられません。
そんな時でもQRコードが機能を果たせるのは、誤り訂正という仕組みがあるおかげです。
現場で頼れる、大きな安心材料と言えるでしょう。
実用上の注意点
誤り訂正レベルが高すぎるとQRコードのサイズや複雑さが増し、逆に読み取り精度が落ちる場合があります。 ロゴや装飾を加える際は、QRコードの中央部など読み取りに影響の少ない位置に配置するのが一般的です。 利用するスキャナやアプリの性能も影響するため、実際の使用前に読み取りテストを行うことが重要です。おわりに
QRコードは単なる図形ではなく、情報の安全性や使いやすさまで考えられた設計がされています。
誤り訂正という仕組みを活用すれば、「見た目」と「実用性」を両立することが可能です。
ロゴを重ねたい、オフライン環境で確実に使いたいなど、用途に応じて適切な誤り訂正レベルを選ぶことが、読み取りやすく信頼性の高いQRコードを作るポイントです。